失踪宣告の手続きと取り消し、その効果について

失踪宣告という言葉をご存知でしょうか?長期間生死が不明で行方も不明である人がいたとすると、住まいや婚姻関係、相続など残っている人へ不都合が生じることもあります。そのために設けられたのが失踪宣告と言う制度です。

目次

  1. どうして失踪は起きるのか
  2. 失踪宣告
  3. 申立てをした後はどうなるのか
  4. 失踪宣告の取り消し
  5. 失踪宣告についてのまとめ

どうして失踪は起きるのか

人は自らの意思で消息を絶つ他、災害や事故・事件に巻き込まれ生死が不明の状態になることがあります。
ここでは、失踪という大きな枠組みの中でのことについて述べていきます。

まず失踪は2種類に分類できます。
一つは普通失踪、そしてもう一つが危難失踪(特別失踪)です。

普通失踪とは、家出や蒸発による消息不明をさし、危難失踪とは自然災害や飛行機の事故、船の沈没、戦地へ赴くことによる消息不明をさします。

失踪宣告

家族や友人、同僚などが長期に渡って生死が不明である場合、彼らをめぐる法律関係(婚姻・離婚、相続など)が進展せず、周囲にとって不都合が生じる場合があります。
そこで、民法ではこのような状態が長く続いた場合に、家庭裁判所の宣告によって、失踪者を死亡したものとみなす制度が存在します。

しかし、失踪者がいるからといって、いつでも誰でも宣告の手続きがとれるわけではありません。

誰が宣告の手続きをとれるのか

端的に言えば利害関係人が裁判所へ請求手続きをとることができます。

利害関係人とは、不在者の配偶者、親、子などの親族や受遺者(じゅいしゃ。
遺産の贈与を受ける人のことです)や保険金の受取人などをさします。

上記の人物に限り、家庭裁判所に「失踪宣告の申立書」を提出することができます。
実際に申立てを受けた家庭裁判所では、判断のために書面の照会や直接関係者から事情を聴取します。

失踪宣告の申立書の提出に必要なもの

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家庭裁判所に提出する申立書の他に必要な書類がいくつかあります。
・申立てを行う人と不在者の戸籍謄本と住民票
・失踪を証明する資料(捜索願など)
・申立てを行う人と不在者の利害関係を示す書類(親族関係であれば、戸籍謄本の全部事項証明書です)

この他に収入印紙代や連絡用の切手代、官報(かんぽう。
国の機関誌で、公布された憲法や法令などが掲載されています)への広告料などが必要になります。

申立てをした後はどうなるのか

家庭裁判所の失踪宣告が確定した後には、失踪届を市区町村に提出する必要があります。
失踪届とは、不在者が見つからなかった場合に法的な手続きを行うために市区町村に対して行う届け出のことです。

不在者の生死が不明になってから(普通失踪の場合)7年間経つと、不在者は死亡したとみなされます。
すると相続が始まり、不在者に配偶者がいた場合は婚姻関係が解消されます。

失踪宣告の取り消し

保険・相続

では、失踪宣告が確定した後に不在者が帰宅した、あるいは生存が確認された場合はどうすればいいのでしょうか。

この場合、家庭裁判所は失踪宣告の取り消しをしなければなりません。
これにより従来の法律関係が復活し、相続なども可能になります。
しかし、ここで注意すべき点があります。

相続はなかったことになる?

既に相続された不在者の財産(保険金や現金、不動産など)は返還される必要があります。
法律上、失踪していた人の財産を勝手に使っていたことになるためです。

しかしながら、その財産がなくなってしまっていると、返すべきものも返すことができません。
例えば、失踪したAさんの財産を相続したBさんが全額浪費してしまった場合などがこれに当たります。
その一方でAさんの財産を相続したCさんが、これを生活費に充てていたとします。
そうすると、本来Cさんが支払うべきだった金額が浮いたことになるので、Cさんにとっては利益となります(現存利益といいます)。
Cさんは相続したAさんの財産を全額返還しなければなりません。

失踪宣告についてのまとめ

人々

身近な人が長期間不在で失踪宣告を出してもらう場合に起こることや注意点をまとめてみましたがいかがでしょうか?
自分で手続きをするのが大変だ、時間がとれない、という人は弁護士事務所へ相談してみるとよいと思います。
法律用語は難しい言い回しもありますし、失踪宣告が確定すると不在者は法律上「死亡」という事態にもなります。
少しでも手続きに不安があれば、法務のプロに助けを求めましょう。

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