不動明王のご利益とは?護摩祈祷により健康祈願・病気平癒を

不動明王のご利益とは?護摩祈祷により健康祈願・病気平癒を

お寺によく行かれる方なら、不動明王像を見たことがあるかと思います。柔らかいお顔の仏像の中で、いかめしい表情の不動明王像はひときわ目をひきます。どんな仏様で、どんなご利益を授けてくれるのでしょうか。この記事では不動明王尊とそのご利益について調べてみました。

2018-05-26

不動明王尊はどんな仏様なの?

困った人々

不動明王というお名前

 不動明王とは梵語のアチャラ・ナータ(अचलनाथ,acala naatha)の訳語から来た名前です。
「アチャラ」とは「動かないもの」・ナータとは「尊者」という意味で、そのまま訳して不動明王という名前になりました。

 明王とは、密教の中で悪魔を打ち払う役目を持った仏のことです。
この場合の「明」とは「知識」という意味です。
不動明王もその内の一尊ですので、智恵を守り邪悪を打ち払う役割を持っています。

相貌

雁回山 長寿寺 木原不動尊の不動明王像 

不動明王像の特徴はその険しい顔つきにあります。
下唇を噛み、眉をしかめた恐ろしい顔です。
この顔は憤怒相(ふんぬそう)と言い、怒りを表した表情です。
この顔は仏道を伝えるための必死の形相であり、道を踏み外そうとしている者に向けられたものなのです。

 像によっては右目が大きく開いて上を向き、もう片方をすがめて下を見ているものもあり、これは広くにらみを利かせていることを表しています。
この目つきのことを天地眼といいます。

持物(じもつ)

 悪魔を追い払う役目を持った仏ですから、持ち物にもその特徴が表れています。
右手の利剣(りけん)は悪魔と戦うための武器である他、人間の煩悩を打ち払う智慧の鋭さも表しています。
左手の羂索(けんじゃく)は間違った道を行く人を力ずくでも止めるためのもので、煩悩を縛り封じこめるという役割も持っています。

 そのほかの持物にも意味があり、背中に背負う火炎は煩悩を焼き尽くすためのもので、足元の盤石(ばんじゃく)は人々を救うための苦難に耐えるという決意を表すためのものです。

両脇の像は?

 冒頭の画像では不動明王の隣に二人の童子がいますが、それぞれ矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子(せいたかどうじ)といいます。
このように仏の隣に控える従者の役割を持った仏を脇侍(きょうじ)といいます。
向かって右側が矜羯羅童子、左側が制多迦童子で不動明王の従者をつとめています。
不動明王尊とこの二尊をあわせて不動三尊(ふどうさんぞん)と呼びます。

どんなご利益があるの?

主な二つのご利益

煩悩を打ち払う

 先に述べたように不動明王は邪な存在を打ち払うための仏さまですから、人間を悪の道に引きずり込むものを打ち払ってくれます。
すなわちそれは煩悩のことです。
煩悩は「三毒」と呼ばれる代表的なものがあり、「貪欲(とんよく、欲の深いこと)」、「瞋恚(しんに、激しい怒り)」、「愚痴(ぐち、智恵の無いこと)」がその内訳です。
その三毒を含めて、人間には108もの煩悩があるといわれています。
不動明王は煩悩という仏道を歩むうえでの障りを切り払い、封じ込め、燃やし尽くす役目を持つ仏様なのです。

間違いを正してくれる

 不動明王の険しい顔は仏敵に向けられたもの以外に、私たち人間に向けられたものでもあります。
人間は間違いをおかし、その過ちに気づけない時があります。
そのような時、不動明王は険しい顔でもって私たちを叱り、左手の羂索でもって縛って間違った道に進まないよう引き留めてくれるのです。
そのように、普通のゆっくりした対応では間に合わない者を力ずくでも救ってくれる仏様なのです。

健康祈願・病気平癒その他

健康祈願・病気平癒

 以上に述べた二つが主なご利益なのですが、お寺によっては健康祈願および病気平癒のご利益があることがあります。
例えば、千葉県長生郡にある弘行寺(ぐぎょうじ)のご本尊は「長生不動明王」と呼ばれており、長寿や健康のご利益があるとされています。
京都の鹿苑寺(ろくおんじ)では上半身の病気および眼病にご利益があるとされ、大阪の瀧谷(たきだに)不動明王寺も眼病にご利益があると言われています。

その他

 その他、神奈川県横浜市の大明王院身代わり不動尊横浜別院、香川県の成田山聖代寺では身代わり・厄除けのご利益があります。
厄を不動明王尊に肩代わりしてもらうのです。
 変わったご利益では沖縄県の安国寺の不動尊があげられます。
沖縄では首里十二か所巡りといって、十二支に密教の仏をそれぞれあてはめて、その年生まれの人の守り本尊としている文化があります。
安国寺も十二か所巡りの一つであり、不動尊が酉年の守り本尊なのです。

 近くのお寺に不動尊があるなら、ご利益を調べてみると面白いかもしれません。

護摩祈祷に参加してみよう

雨降山大山寺(本尊は不動明王)の護摩祈祷のようす

人々

護摩祈祷とは

 よりあらたかなご利益を得たければ、護摩祈祷に参加するとよいかもしれません。
護摩とはサンスクリット語の「homa(ホーマ)」から来ており、この言葉は「捧げる」という意味の「hu」が転じたものでした。
その意味が示すとおり、お寺で行われる護摩祈祷とは焚いた火の中に願い事をこめた護摩木を投げ入れる行事のことです。
不動明王を象徴する火の力を借りて、煩悩が清まり大願成就を願います。

 高幡不動尊金剛寺のホームページによれば、以下のことをお願いできると例が挙げられています。

護摩祈祷の注意

 お寺によっては護摩祈祷を行っていないところもあります。
また、一日のうちで護摩祈祷を行う時間をあらかじめ定めているお寺もあるので、調べたうえで決まった時間に参加する必要があります。
その際は拝観料とは別に祈祷料が必要になる場合がありますので注意してください。

真言でもっとご利益を高めよう

真言って?

 真言(しんごん)とは密教が4世紀ごろに成立した時に使われていた悟りの言葉です。
そのため、サンスクリット語で書かれています。
密教は仏の悟りを修行者のうちにもたらすことを目的としています。
真言は悟りの世界に触れやすくするために悟りの内容をあらわした呪文のようなものと言えるでしょう。

 真言は原語ではマントラ(mantra)といいます。
manとは「思う」という意味、traは接尾語で手段・方法を意味する言葉のようです。
思いを伝えるもの、と訳せるかもしれません。

いつ唱えればいい?

 参拝の時に唱えましょう。
お寺の詳しい参拝の作法はここでは省略しますが、真言は手を合わせて仏様に拝むときに唱えます。
人が多かったりして言葉に出しにくい場合には、心の中でとなえてもよいでしょう。
お寺によっては参拝の手順として、真言が貼りだされている場合もあります。
わからない場合にはお寺の人に聞いてみましょう。
ただ、真言は神聖な言葉ですので、お参りの時などしかるべき場合でのみ使い、みだりに唱えないようにしましょう。

不動明王尊の真言

 以下が不動明王尊の真言になります。
音声はリンクから聞いてください。
 

のーまく さんまんだー ばーざらだん せんだー まーかろしゃーだー そわたや うんたらたーかんまん

 大まかにいうと、み仏の力を示し障害を打ち払いたまえ、くらいの意味になるようです。
参拝の時にはぜひ唱えてみてください。

おわりに

 私たちが日常を生きていく中で、さまざまな障害や誘惑があると思います。
そのような問題に立ち向かう時には、不動明王尊の力を借りるとよいかもしれません。
かつては源頼朝や水戸光圀といった偉人も、力を借りるために不動明王尊を信仰していました。
心をこめて参拝すれば、きっと信じたものに力を授けてくれると思います。
もしご近所のお寺でお不動さまを見かけたらぜひ手を合わせて拝んでみてください。

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