明治を代表する文学者・正岡子規の愛すべき短歌たち

写実的・生活密着的歌風を提唱し、短歌の革新を行った明治を代表する文学者・正岡子規。その短歌はその情景をいとも簡単に私たちの心に描かせます。そんな愛すべき正岡子規の短歌たちを「野球」「自然」「代表作」3つのテーマに分けてご紹介します。

目次

  1. 正岡子規という文学者
  2. ベースボールの歌
  3. 庭前即景
  4. 短歌の代表作
  5. 正岡子規と短歌まとめ
  6. 終活の専門家に相談してみよう

正岡子規という文学者

正岡子規

正岡子規は明治時代に活躍した明治を代表する文学者の一人で、文学史において改革運動を成し遂げた改革者です。正岡子規といえば俳句が代表的ですが、創作活動は多岐にわたり、短歌の世界においても革新に努め、高く評価されています。そんな正岡子規は野球愛好家でした。自身も病により喀血するまで熱心な選手でした。野球ができなくなった後も野球をテーマにした俳句や短歌を多数詠み、文学を通じて野球の普及に貢献したとして2002年に野球殿堂入りを果たしました。

病に臥せった晩年は、病床にありながら後進の歌人たちの指導を続け、病床から見える庭の草木や鳥などの自然の風景を子規らしく写実的に詠みました。その頃、自身のことを、カワウソが捕らえた魚を並べてから食べる習性と、病に伏せり枕元に書物を多く置いていた自分を重ね合わせ「獺祭書屋主人”だっさいしょおくしゅじん”」という号を使っていたそうです。

正岡子規は享年34歳という若さでこの世を去ってしまいましたが、彼が残してくれた美しく素晴らしい俳句や短歌は、今なお愛され続けています。今回は野球を詠んだ短歌集「ベースボールの歌」、庭から見える草木や鳥を詠んだ「庭前即景」、「正岡子規の短歌代表作」の3つのテーマ別に正岡子規の短歌をご紹介します。

ベースボールの歌

正岡子規

「ベースボールほど愉快に満ちたる戦争は他になかるべし」と書き、友人に「変態現象」と言わしめるほど野球に魅了されていた正岡子規。そんな野球愛好家・正岡子規が詠んだ野球をテーマにした短歌集が「ベースボールの歌」です。野球の臨場感や観客・選手の興奮を私たちに思い出させ、わくわくさせてくれる短歌たちです。

「ベースボールの歌」
・久方のアメリカ人びとのはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも
・国人くにびとととつ国人と打ちきそふベースボールを見ればゆゝしも
・若人わかひとのすなる遊びはさはにあれどベースボールに如しくものはあらじ
・九つの人九つの場をしめてベースボールの始まらんとす
・九つの人九つのあらそひにベースボールの今日も暮れけり
・打ち揚ぐるボールは高く雲に入りて又落ち来きたる人の手の中に
・なかなかに打ち揚げたるはあやふかり草行く球のとゞまらなくに
・打ちはづす球キャッチャーの手に在りてベースを人の行きがてにする
・今やかの三つのベースに人満ちてそゞろに胸のうちさわぐかな

正岡子規とベースボールに関する本

正岡子規と明治のベースボール
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「スポーツ科学」専門の著者による学術書よりも読み物に近い本。子規の「スコア表」の記載や子規のサウスポー説など出典の明らかなデータについて検証されていて興味深い。

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庭前即景

日本庭園

晩年を病床で過ごした正岡子規が、病床から見える庭の草木や鳥などの自然を詠んだ短歌集が「庭前即景」です。その短歌は穏やかで静かな情景を心に描かせ、心に何か温かい風を運んでくれる短歌たちです。

「庭前即景」
・山吹は南垣根に菜の花は東境に咲き向かひけり
・かな網の大鳥籠に木を植ゑてほつ枝下枝(えしつえ)に鶸(ひは)飛びわたる
・くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる
・汽車の音の走り過ぎたる垣の外の萌ゆる梢に煙うづまく
・杉垣をあさり青菜の花をふみ松へ飛びたる四十雀二羽
・一うねの青菜の花の咲き満つる小庭の空に鳶舞ふ春日
・くれなゐの若菜ひろがる鉢植の牡丹の蕾いまだなかりけり
・春雨をふくめる空の薄曇り山吹の花の枝も動かず
・家主の植ゑて置きたる我庭の背低若杉若緑立つ
・百草の萌いづる庭のかたはらの松の木陰に菜の花咲きぬ

短歌の代表作

正岡子規

正岡子規は現実密着型で人の在り方に迫ろうとする生活詠に重点を置き、写生的・写実的に短歌を詠みました。そんな正岡子規の代表的な短歌を意訳とともに紹介します。

「瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり」
意訳:机の上の花瓶の見事な藤の花。しかし花ぶさの垂れ下がりが短く、あと少し畳の上に届かない。(病床にいた正岡子規は仰向けになれず、背を丸めて横になっている状態で見ていたため通常の視点からは気付くことのできない視点で藤の花を捉えている。)

「真砂なす数なき星の其中に吾に向ひて光る星あり」
意訳:夜空には浜辺の砂のように無数の星がちりばめられたその中で、わたしに向かって光っている星がある

「くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる」
意訳:赤いバラの芽が二尺ほどのび、まだ柔らかそうな針のうえに絹のような春雨が降っている。

正岡子規の短歌集

子規の短歌(子規選集)
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正岡子規の短歌選集。

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正岡子規と短歌まとめ

正岡子規

たった31文字のその写実的な描写で、誰をもその世界に引き込んでくれる愛すべき正岡子規の短歌たち。愛される理由は、その景色が人の近くにあり、身近に存在する、日頃私たちが忘れがちな心の平和に必要な景色が詠まれているからかもしれません。心が窮屈になった時は子規の短歌を読み、ほっと心に火を灯してみてはいかがでしょうか?

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