能の元祖の観阿弥、世阿弥 足利義満との出会い、その生涯は

歴史の授業で出てくる観阿弥、世阿弥。何をした人かわからないという人が多くいると思います。観阿弥、世阿弥の存在は日本の芸能史を変え、日本が誇る能楽の基礎を作った人たちなのです。では芸能史に大きな功績を遺した観阿弥、世阿弥をご紹介しましょう。

目次

  1. 観阿弥、世阿弥は芸能のパイオニア
  2. 観阿弥がいた時代の猿楽とは
  3. 世阿弥、将軍と出会う
  4. 美少年世阿弥が芸能を変える
  5. 近侍となる世阿弥 
  6. 観阿弥が巡業中に客死
  7. 世阿弥、観世太夫となる
  8. 世阿弥が作った傑作『幽玄能』とは
  9. 世阿弥、移りゆく世を知る
  10. 観阿弥、世阿弥 時を越える能
  11. まとめ

観阿弥、世阿弥は芸能のパイオニア

観阿弥(かんあみ/かんなみ)は1333年に伊賀の国、今の三重県で生まれたと言われます。元々は大和の国(奈良)を中心に寺社仏閣を回って興業する猿楽一座の一員でした。興福寺や春日神社の境内で猿楽を舞い人気を博す芸能者で大柄ですが、女の舞は素晴らしく人気があったそうです。

観阿弥がいた時代の猿楽とは

猿楽は、奈良時代伝来の楽が平安時代の中期以降は仏教説話や神事と田畑での豊作を祝って歌い舞われる田楽が融合して形を成していました。それらは寺や神社で興業し、時には村の祭りなどでも演じられたので、観客の多くは農村部や街に住む市井の人々でした。

観阿弥、優美な舞と動の舞の融合

観阿弥一座は、笛などで拍子を取り軽快に舞う田楽と白拍子舞から派生した曲舞を合わせたスタイルと物まね主体の猿楽を盛り込みました。田畑で舞われた奉納舞という見慣れた舞と水干姿の優美な舞は、注目を浴び大和の国(奈良)のみならず、京都でも観阿弥一座の名を広めていきました。

世阿弥、将軍と出会う

1370年ごろから観阿弥は自分の一座を率いて、大和、京都に巡業を行っていました。そして1375年に観阿弥一座の噂を聞きつけた足利義満が、彼らが巡業しているという京都の新熊野(いまくまの)神社を訪れ、当時11歳の美少年鬼若、後の世阿弥に出会うのです。

美少年世阿弥が芸能を変える

11歳の世阿弥は当時17歳の将軍義満の目に留まり、寵愛を受けることになります。その後、観阿弥の一座は将軍の後見を受け、幕府お抱えとなります。それは、それまで七道の者として、負のイメージを持たれていた芸能者が殿上人の心を動かしただけでなく、その地位を変えていくきっかけになるのです。

近侍となる世阿弥 

世阿弥が義満の寵愛を受け、寵童から近侍として使えるようになると将軍は常に美しい世阿弥を傍に置くようになります。祇園会の桟敷で将軍の近くに世阿弥を置いたことでさらに多くの人々から非難されますが世阿弥は驕ることはありませんでした。

観阿弥が巡業中に客死

父、観阿弥も自分の息子が寵愛されることで驕るような人物ではありませんでした。観阿弥はますます芸に磨きをかけ、京都を中心に猿楽興業で各地を巡ります。そして1384年に駿河静岡浅間神社での興業ののちに観阿弥は亡くなります。

世阿弥、観世太夫となる

父亡きあと、20歳になったばかりの世阿弥は観世太夫を継ぎます。そして貴族・武家社会で流行っていたこの世とも現世ともいえない世界『幽玄能』を作ります世阿弥は芸を磨くだけでなく当時流行っていた連歌や教養も学んでいきます。

世阿弥が作った傑作『幽玄能』とは

幽玄能とは、死後の世界と現世の世界、亡霊や化身などが主人公。人間は僧や陰陽師で、主人公が昔の姿で現れ自らを語らうことからはじまります。時に神や鬼、何かの精であったりしますが、すべては現実世界ではない「幽玄」の世の出来事なのです。

世阿弥、貴族社会が受け入れる

幽玄の美と言うものは瞬く間に武家や貴族の人々に受け入れられました。観世座の能はここでさらに人気を博します。抽象的で神秘的な世界は、見る人の心に響かせる世界は身分を問わないものとなっていきます。

世阿弥、移りゆく世を知る

足利将軍の強力なバックアップの元、成功したように思えた観阿弥一座。将軍の後ろ盾もあり、猿楽は空前の大ブームを呼びました。しかし観阿弥座以外の演者たちも現れます。義満の晩年には、寵愛は田楽の犬王(増阿弥)に移り、世阿弥はその寵を失います。

時代の流れ、凋落する世阿弥

義満亡き後、足利義持の代になると猿楽は好まれませんでした。しかし1428年に義持から足利義教の代になると猿楽の地位が復活、盛大な猿楽公演が行われます。ですが、舞台を務めたのは世阿弥の養子であり、世阿弥から独立した音阿弥。音阿弥はそのとき義教の寵愛を得ていました。

追い詰められていく世阿弥

義教の寵愛を受け人気猿楽師となっていく音阿弥。一方、世阿弥は極端に冷遇される世阿弥。猿楽興行の場所も制限されていき、とうとう猿楽を演じることすら難しくなる世阿弥。1432年、跡継ぎの元雅が死に、1434年将軍への謀反の罪をかけられ、とうとう佐渡へ流罪となります。

権力者によって翻弄される世阿弥、その後

若き日の栄光と落日を味わった世阿弥。世阿弥が去った後、1433年にすでに音阿弥は観世太夫となり、将軍の後ろ盾を得ながら京都を中心に猿楽興業を行います。一方、佐渡へ流された世阿弥はその後どうなったのか、どこで亡くなったのかはわかりません。おそらく佐渡で亡くなったのではないかといわれていますが、その暮らしぶりなどは伝わっていません。

観阿弥、世阿弥 時を越える能

猿楽を世に広め、能楽の元を作った観阿弥、世阿弥。2人の功績は今も能の中に生き続けています。親子二代にわたって、洗練された能は現代の人にも語りかけてきます。時も空間も超越し、人や神、鬼が跋扈する世界、それこそが世阿弥の作った『幽玄能』だったのかもしれません。

まとめ

森

観阿弥、世阿弥は直系の血は残しませんでしたが、能楽と言う芸能を今に伝えました。時代は変わり、何百年たっても見ることができる能楽の世界は彼らが残して日本の宝なのです。もし興味をもたれたら、貴族たちが愛した一度幽玄の世界、能をご覧になることをおすすめします。

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