国宝に指定されている日本刀にはどんな理由がある?

国宝とは「文化財保護法」により指定された重要文化財である”有形文化財”のうち、たぐいない国民の宝たるものであるとして国が指定したものをいいます。もちろん国宝に指定されている日本刀もあります。ここでは国宝に指定される日本刀とはどのようなものかをみていきます。

目次

  1. 国宝に指定されている日本刀
  2. 童子切安綱【国宝/日本刀】
  3. 大包平【国宝/日本刀】
  4. 大般若長光【国宝/日本刀】
  5. 大典太光世【国宝/日本刀】
  6. 美術品としての日本刀の価値

国宝に指定されている日本刀

「国宝・重要文化財」に指定されている刀剣類で、名物や号のある(固有名詞で呼ばれる)刀剣は60あまりあります。名物の条件として刀姿、形、出来が優れていることはもちろん、貴人が所持したという来歴が重要になってきます。「国宝・重要文化財」に指定されているいくつかの刀剣をピックアップし、刀剣が持つそれらの要素を来歴を中心にご紹介します。

童子切安綱【国宝/日本刀】

太刀 銘安綱(名物童子切安綱) 附 絲巻大刀 梨地葵紋散蒔絵大刀箱」(たち めい やすつな めいぶつどうじぎりやすつな つけたり いとまきたち なしじあおいもんちらしまきえたちばこ)
・平安時代中期、伯耆国大原の刀工、大原安綱作の太刀。
・天下五剣の一つで、大包平と共に「日本刀の東西の両横綱」と称されています。
・昭和26年(1951年)6月9日、国宝保存法による国宝指定の刀剣第一号。

由来

清和源氏の嫡流である源頼光が丹波国大江山に住み着いた鬼・酒呑童子の首をこの太刀で切り落としたという伝承から「童子切」の名がついたと言われています。

来歴

①源頼光
頼光が参宮した際に夢中で託宣があり伊勢神宮より下賜った源氏累代の太刀とされる。

②足利将軍家
重代の名刀の一つとして伝える。

③豊臣秀吉
15代足利義昭から贈られたが、秀吉は手元に置くことを嫌い本阿弥家に預けたという。

④徳川家康

⑤徳川秀忠

⑥松平忠直(越前松平家)
秀忠の息女勝姫(天崇院)が越前北ノ荘藩の松平忠直に輿入れする際に持たせる。

⑦松平光長(越後高田藩主)

⑧津山松平家
継者をめぐって越後騒動が起こり、高田藩はお家取り潰しになるがのちにお家再興を許され、美作津山藩10万石に封じられた。津山藩(作州津山松平家)では、この「童子切」と「稲葉郷」、「石田正宗」の3振の名刀を家宝として伝えたという。

⑨個人所蔵家数名
太平洋戦争終戦後、津山松平家から手放され、個人所蔵家の所有となった。

⑩文化財保護委員会(文化庁の前身)
昭和38年(1963年)3月、文化財保護委員会(文化庁)が2630万円(当時)で買いあげる。

⑪東京国立博物館
製作から千年経つが健全なままで、東京国立博物館に所蔵されている。

逸話

当時上野広小路にあった本阿弥三郎兵衛の宅に童子切を運ぶ際に、筋違橋(現在の万世橋と昌平橋の間)のあたりで、刀の威光を怖れたのか狐が多数逃げていったという話が伝わっています。

大包平【国宝/日本刀】

太刀 銘備前国包平作(名物大包平)(たち めいびぜんのくにかねひらさく(めいぶつおおかねひら)
・平安時代末、古備前派の刀工、包平の作。
・現存する全ての日本刀中の最高傑作として知られています。
・昭和26年(1951年)6月9日に国宝指定。

由来

「包平の中の包平」という意味で「大」が冠せられています。

来歴

(池田家以前の伝来は不明)
①池田輝政
輝政に「一国に替え難い」と云わしめたほどの名刀という。
池田家では、この大包平を「池田正宗」や「池田来国光」などの名刀とともに代々伝えていた。

②東京国立博物館
長らく池田家に伝来していたが、1967年(昭和42年)に文部省(当時)が6,500万円で買い上げ、以後は東京国立博物館に収蔵されている。

逸話

刀が大変お好きだった明治天皇が池田侯爵に「ぜひあの大包平を見たいから持ってきて見せてくれないか」と言われたとき「陛下、まことに申し訳ないけれども、大包平は一子相伝の我が家の重宝でございます。たって陛下がご覧になりたいのであればどうぞ岡山へ来てご覧になってください」 と言ったそうです。

大般若長光【国宝/日本刀】

太刀 名物 銘長光/大般若長光(たち めいぶつ めいながみつ/だいはんにゃながみつ)
・鎌倉時代後期、備前国(岡山県)長船派(おさふねは)の刀工、備前長船長光の作。
・昭和26年(1951年)6月9日国宝指定。

由来

号の「大般若」というのは、仏教の「大般若経(大般若波羅蜜多経だいはんにゃはらみったきょう)」のこと。室町時代に他に類をみない銭六百貫という代付(だいづけ)がなされたために、大般若経(だいはんにゃきょう)六百巻を掛けて「大般若」と名付けられました。

来歴

①足利将軍家の第十三代将軍足利義輝

②三好長慶

③織田信長

④徳川家康
姉川の戦いの功により信長から授けられる。

⑤奥平信昌(のぶまさ)
長篠の戦いの戦功として与えられる。

⑥松平忠明(信昌の末子で家康の養子)
そのまま忠明の家系(武蔵国忍藩(おしはん))が所蔵したまま、明治年間を迎える。

⑦山下亀三郎 (伊予生まれの実業家)
・大正年間に松平頼平氏を通じて売りに出したものを、山下亀三郎氏が他の刀と一緒に八萬円で購入したという。
・大正12年(1923年)の関東大震災の時、崩れた土蔵の下敷きになり曲がってしまうが、研師吉川恒次郎の手により元に戻る。

⑦伊東巳代治(みよじ)伯爵(長崎県出身の政治家)

⑧旧帝室博物館(現東京国立博物館)
伊東伯爵の死後、五萬円で譲渡され、戦後も引き続き東京国立博物館で所蔵されている。

大典太光世【国宝/日本刀】

太刀 名物 大典太(たち めいぶつ おおでんた)
・平安時代末期、筑後国(福岡県南部)の刀工、三池典太光世(みいけでんたみつよ)の作。
・天下五剣の名刀のうちの一つ。
・昭和32年(1957年)2月19日国宝指定。

由来

加賀前田家には三池光世作の太刀が二振り、または太刀と刀の二振りがあり、長い方が「大伝太」と呼ばれていました。

来歴

①足利将軍家
鬼丸国綱、二つ銘則宗、大般若長光などとともに、足利家の重宝として尊氏以後伝承された。

②豊臣秀吉
足利将軍家十五代義昭の時に一万石を条件に二つ銘則宗(愛宕神社所蔵)、鬼丸国綱と共に秀吉に献上された。

③前田利家
慶長三年八月、死期を悟った秀吉が形見分けとして利家に分け与え、その後前田家では、三条小鍛冶宗近の刀、静御前の薙刀とともに「鳥とまらずの蔵」に入れられ加賀前田家三種の神器になった。現在も前田育徳会所蔵。

美術品としての日本刀の価値

ほんの一部ですが国宝の指定を受けている日本刀をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。古来から武器としての役割と共に、美術品としても評価の高い日本刀。日本刀(国宝)の来歴をみると各時代において権威の証として尊ばれてきたことがわかります。限られた人物しか観ることのできなかった日本刀(国宝)ですが、今は博物館でみることができます。そう考えると幸せな時代ですね。

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