相続税は自分で計算できる!計算法と見落としがちなポイントを解説!

相続税は自分で計算できる!計算法と見落としがちなポイントを解説!

相続税と聞くと、少し大変なイメージがあるかもしれません。しかし算定の仕組みをしっかりと理解すれば、実は自分で計算することも可能です。こちらの記事では相続税の計算の流れや、算定の際に見落としがちなポイント、相続税を引き下げる控除や特例をご紹介。

2019-09-18

相続税の計算について

お金

相続税と聞くと普段あまり接することが少ないせいか、大変なイメージがあるかもしれません。
しかし、相続税算定の仕組みについてしっかりと理解すれば実は自分で計算することも可能です。

そこで今回は相続税の計算の流れについて解説していきたいと思います。
相続税の算定の際に見落としがちなポイントや、相続税を引き下げる様々な控除や特例についてもお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧下さい。

相続税の計算の流れ

お金

相続税の計算の流れですが、大きく分けると次の4つのステップから成り立っています。
どのようなステップを踏めばいいのか、それぞれお伝えしていきたいと思います。

見落としがちなポイントに注意しながら相続財産の全容を把握する

相続税の算定の最初のステップは、どのような相続財産がどれくらいあるのかを把握することです。
相続財産とは相続や遺贈によって取得するものであり、被相続人の全ての権利・義務がその対象となります。

この時、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続対象になる場合がある点に注意が必要です。
くれぐれも被相続人の財産の把握は慎重におこなうようにしましょう。

プラスの財産

では、実際にどのような財産があるのでしょうか。
まずはプラスの財産について具体的なものをいくつか見ていきましょう。

現金や預金等

被相続人のお財布やタンス預金といった現金の他、被相続人名義の普通預金や定期預金、貯蓄預金、外貨預金なども対象となります。

また、見落としがちな相続財産として注意したいものに「名義預金」があります。
名義預金とは、被相続人の配偶者名義の預金でありながら実質的に管理していたのが被相続人であった預金や、被相続人の収入を配偶者名義で管理していた場合の預金を指します。
たとえ被相続人以外の名義でも相続財産として課税対象になる場合があるので注意しましょう。

現預金ではありませんが、類似したものとして仮想通貨や電子マネーがあります。
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨や、スマホアプリにチャージされた未使用分の電子マネーも現預金と同様に相続税の課税対象になりますので、相続財産の算定に含めることを忘れないようにしましょう。

有価証券や金融商品

株や小切手といった有価証券の他、金融商品も相続財産の対象となります。
金融商品には投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT、国債、仕組み債、純金積立、さらにFX(外為取引)の証拠金などが含まれます。
金融商品で注意したいのが、海外の金融機関で保有しているものがある場合です。
たとえ海外の金融商品であっても、被相続人と相続人がともに一定の非居住者要件を満たしているなどいくつかの特殊な要件を満たさない限り、海外の金融商品も相続財産の対象に含まれます。

不動産

不動産には自宅の他にも投資用のアパートやマンション、駐車場、ビル、別荘などが含まれます。
家族に内緒で所有していたと

貴金属や自動車等

高級腕時計や指輪、ネックレスなどの貴金属や自動車、オートバイ、モーターボートなどの船舶が対象となります。
その他にも高級家具や骨とう品なども対象となります。

ゴルフ会員権やその他の権利

市場価値のあるゴルフ会員権だけでなく、著作権、特許権、意匠権、実用新案権なども相続財産に含まれます。

みなし相続財産や贈与財産

被相続人の死亡をきっかけとして受給される財産にみなし相続財産があります。
みなし相続財産には被相続人の死亡によって支払いが確定する「生命保険」や被相続人が死亡してから3年以内に支給されることが確定する「退職金」・「功労金」が該当します。

また、相続が開始される前の3年以内に贈与された財産や相続時精算課税制度を利用して贈与された財産も相続財産に含まれます。

非課税財産・マイナスの財産

反対に相続税がかからない非課税財産やマイナスの財産には以下のようなものが挙げられます。

祭祀関連の財産

お墓や仏壇といった祭祀財産は非課税財産として相続税の対象から外すことが可能です。

ただし、常識的に考えて過度に高額なものや市場価値が高く、高値で売却処分できるものは税務署から税務調査が入った場合に非課税財産として処理することが否認され、課税対象となる場合がありますので注意しましょう。

死亡保険金や死亡退職金の非課税枠

被相続人の死亡によって支払われる死亡保険金や死亡退職金は、「500万円×法定相続人の人数」の範囲で非課税とすることができます。

ローンの残債や未払い税金

住宅ローンやカードローン、キャッシングの残債など被相続人の借金についてはマイナスの財産として相続税の課税価格から控除することができます。
家賃の滞納分や個人から借りた借金もマイナスの財産です。

また、所得税や住民税、固定資産税、不動産取得税、自動車税などの税金のうち、被相続人の死亡時点において納付義務が発生しているにもかかわらず、未払いとなっている税金もマイナスの財産にカウントされます。

なお、利子税や重加算税といった税務上のペナルティについてはマイナスの財産としてプラスの財産から控除することはできませんので注意しましょう。

葬儀費用

被相続人の葬儀を営むために発生した費用についてはマイナスの財産として認められます。
葬儀費用には火葬や埋葬の費用、通夜・告別式の費用、お寺などに支払った費用、遺体の捜索費用などが含まれます。
また、お葬式の際の香典については相続財産からは除外されます。

相続財産の課税額を算定する

被相続人が保有していた全てのプラスの財産とマイナスの財産を把握したら、相続税の算定に必要な相続財産の課税額を計算していきます。
課税対象となるプラスの財産の課税額を合計し、その額から葬儀費用などの非課税財産やローンの残債などのマイナスの財産を控除します。

相続財産の課税額を算定する際に注意すべきポイントとしてはプラスの財産の評価方法が挙げられます。
現金や預金の場合はそのままの金額が算定根拠となりますが、不動産や株などの有価証券、貴金属や著作権などは個々に評価方法が定められているため、その評価方法に従って課税額を算定する必要があります。
例えば、土地については原則として路線価方式と呼ばれる方法によって土地の前面道路の路線価をベースに土地の価値を評価しなければなりません。
また、株式についても上場株式と非上場株式では評価方法が大きく異なるので注意が必要です。

法定相続人の確定と相続税の総額を算定する

課税価格を算出した後は法定相続人を確定し、法定相続人の相続割合に従って各相続人に相続財産を割り振ったと仮定します。

次に仮に割り振られた財産をベースに相続人ごとの相続税を算定し、その総額を算出していきます。
相続税の総額を算定する際には以下のような速見表を利用すると便利です。
以下の速見表は2015年(平成27年)1月1日以後の相続に適用されるものとなります。

決定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10% -
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

また、相続人の確定ですが、法定相続人は被相続人の配偶者やその子供が基本となります。
ただし、子供が被相続人の死亡する前にすでに亡くなっている場合にはその孫、孫がいない場合には兄弟姉妹となる場合があります。

その他にも、養子や非嫡出子が法定相続人となったり、法定相続人以外にも内縁の妻など血縁関係のない人が相続人となる場合もあります。
法定相続人の確定の際にはそれまで被相続人の親族も知らなかったような法定相続人が存在するかもしれません。
そのため、被相続人の戸籍は出生から死亡時まで丹念に調べなければなりません。

遺産分割を済ませ、相続人ごとの相続税額を算定する

相続税の総額を算出したら、だれに何を相続させるかを決定するために遺産分割協議を通じて遺産の分割をおこないます。
遺産分割協議で決まった各相続人の遺産比率で相続税の総額を分けて、相続人ごとの正確な相続税額を算定していきます。
個々の相続人の相続税額算定には以下にご紹介する控除や特例を可能な範囲で適用させ、最終的な相続税額を計算します。

相続税を概算で計算したい方は下記のページで相続税を簡単に計算することができますので、ご参考ください。

相続税を引き下げる控除

お金

相続税の計算においては真っ先に挙げられる控除としては基礎控除がありますが、それ以外にも条件によっては受けられる控除がいくつかあります。

  • 配偶者控除(配偶者の税額軽減)

    被相続人の配偶者だけに適用され、「法定相続人分あるいは1億6千万円のいずれか多い額」まで非課税となる控除です。

  • 未成年者控除

    未成年者のみに適用され、「20歳になるまでの年数×10万円」の分まで非課税となる控除です。

  • 障害者控除

    障害者に適用され、「満85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者(重度の障害のある方)の場合は20万円)」の分まで非課税となる控除のことです。

  • 贈与税額控除

    相続開始前の3年以内にされた贈与について既に納税の済んだ贈与税額を相続税から差し引くことが可能な控除のことです。

  • 外国税額控除

    日本国外で納めた相続税について日本の相続税から差し引くことが可能な控除のことです。

  • 相次相続控除

    一次相続から10年以内に二次相続がおこなわれた場合に一次相続の相続人に課せられていた相続税額のうち、一定の金額まで二次相続の相続人の相続税額から控除できるという制度です。
    例えば、被相続人(祖父)から遺産相続した父親(一次相続の相続人に該当)が相続や遺贈、相続時精算課税にかかわる相続税を納めていた場合、その父親が祖父の死から10年以内に亡くなってその子供(二次相続の相続人に該当)が相続すれば、その子供の相続税額から父親の納税分の一部を控除できることになります。
    なお相次相続控除の控除額は、一次相続で課税された相続税について、1年ごとに10%ずつ逓減した金額を二次相続の相続税額から控除できるという仕組みとなっています。

  • 相続時精算課税制度を利用した場合の贈与税額の控除

    相続時精算課税制度を利用したものの、相続時精算課税にかかる贈与税を既に納税している場合にその納税分を相続税から差し引くことが可能な控除です。

以上のように、基礎控除以外にもいくつかの控除制度があります。
相続税を計算する際には、どの制度が適合するかよく検討するのも大事なポイントとなります。

控除以外にも適用できる特例とは?

お金

基礎控除やその他の様々な控除を適用することで相続税を大きく引き下げることができますが、控除の他にも条件次第で活用できる特例もいくつかあります。

具体的な例としては、小規模宅地等の特例が挙げられます。
小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地や事業用地などを相続する際に、相続税評価額を最大で80%まで減額することができる制度のことです。
減額できる割合については限度面積や土地の種類が決められていますので、国税庁のホームページなどで確認しておくとよいでしょう。

相続税の算出においては見落としがちなポイントとなりますので、適用できるかについてはよく確認しておいたほうがいいでしょう。

まとめ

お金

今回の記事では相続税の計算方法や計算する際に注意したい見落としがちなポイントについてご紹介しました。
控除額や特例などの制度は改正されて、限度額等が変更になる場合があります。
最新の情報については国税庁のホームページなどを確認し、間違えないようにしましょう。

監修者:税理士 古尾谷裕昭
相続サポートセンター(ベンチャーサポート相続税理士法人)
全国16拠点。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍しているため相続税の申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応してます。
年間申告1000件以上。

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