世界から見た日本の宗教観とは。寛容な姿勢には驚きの声

筆者が住むカリブは完全に「宗教」といえばクリスチャン。ここにいる他の先進国の人々も大体クリスチャン。そんな彼らがもつ日本への興味は全く尽きません。そんな彼らが持つ、日本の「宗教」に対する姿勢への反応とは。そして皆が一番驚く日本の習慣とは。少しまとめてみました。

目次

  1. まずは日本の宗教についておさらい
  2. 日本人の宗教観
  3. 世界が持つ宗教観
  4. 「日本の宗教って何?」という質問
  5. 「神」に対する日本と世界の物理的な違い
  6. 一番驚かれる日本の宗教の習慣とは
  7. まとめ。なぜ宗教観への違いが生まれるのか

まずは日本の宗教についておさらい

日本人の宗教の信者数の割合は

信者数の割合を調べるとき、二種類の方法があります。
ひとつは登録している宗教法人に信者数を聞くこと。そしてもう一つは、一定の人数に電話して割合を計ること。
調査方法として、宗教法人へ聞く方法は全く当てになりません。
全ての信者数を数えると日本の人口が2億を超えるから。
例えば死亡したか、または全く連絡がつかなくなって久しい信者でもなんでも全てカウントしてしまうからです。団体の発表数と、実際に活動している人たちの差が10倍以上の開きがあることもしばしば。
しかも実際には、個人にアンケートを取って調査した結果「自分は無神論だ」という回答が半数を超えたという、宗教に熱心な人からすると悲しい結果も。
ちなみに残り半数近くの「宗教を信仰している」と回答した人たちの割合は、仏教が40%弱、残りを神道、クリスチャン、その他が分けるという形になっています。

日本は仏教の国?それとも神道?

日本書紀で書き記されている日本国の起こりは、(完全に神話上の話にはなるものの)天照大御神が作り出した島から日本が出来たというもの。
ヤマタノオロチ、ヤマトタケルノミコトなど、一度は聞いたことがあるであろう名前も全ては日本書紀に出ています。
そしてそれらは神道の神様たちなのです。
日本中に点在している様々な神社は全てこれらを含む神道の神様を信仰するためのもので、そういう意味では日本は神道の国ということができます。
しかし上記のアンケートにもある通り、宗教をしているという人のほとんどは自分を仏教徒だと言っており、世界的にも日本は仏教の国というイメージで持たれています。

日本人の宗教観

仏壇

日本人が持つ宗教観の根底にあるのはやはり神道。
どの神様も尊敬してしかるべきという観点から、仏教が伝来した時には仏教を受け入れ、そしてキリスト教が伝来した時にはキリスト教も受け入れました。
なぜなら元々「八百万の神」と呼ばれるように、神道には数えきれないくらいの沢山の神様がいるから。
今更一人二人増えたところで関係ないのかもしれません。

世界が持つ宗教観

お墓

同じ国の中でも、住む場所によって違いが

筆者が住むのはカリブ海に浮かぶある島国です。
ここはガッツリとクリスチャンの国。重要な国の行事、祝日などのほとんども宗教色があります。
殆どの人は聖書を信じ、神様に信仰を持ちます。
しかし見たところ、田舎の人たちの方がより信心深く、都会に行けば行くほどに聖書や神様に対する絶対的な確信が薄れていくように感じます。
日々の生活の忙しさがそうさせるのでしょうか。

「宗教を大切にしている」とは言うものの

例えば、ほぼ全ての人は「宗教を大切にしている」と言います。
宗教にあまり時間を割かない日本人の習慣に驚きいる人がほとんど。
しかし生活をよく見ていると結局はそこまで大切にはしていないということがよく分かってきてしまします。
日本とは違ってクリスチャン国家ではクリスマスは本格的な宗教的行事。
国を上げて様々な教会などで催し物が行われるのですが、ほとんどの人は出席もせず友人や家族とお酒を飲んで楽しみます。
特にやはり、「古い」と言われる人と「若い」と言われる世代でその開きは非常に大きいようです。

「日本の宗教って何?」という質問

シントゥイスモ(神道)と答えてみる

神棚

基本的に、「え?それ何?」から会話がスタートします。
中には知っている人がいることに驚きますが、基本的に大学まで行っているような人のみ。
早い話が八百万の神様を信仰するんだよというところで皆驚きます。
興味深かったのが、「それじゃあギリシャ神話と同じだね!」というコメント。
確かに、共通する要素が沢山あって面白い意見でした。

ブディスタス(仏教)と答えてみる

ブッダは結局神様ではない、仏教の本懐は輪廻転生、そしてご先祖様をよく敬うことという、無神宗教論に皆驚きます(これは仏教内の中でも諸説あり)。
神様がいないで宗教が成り立つという訳ですが、結局はご先祖様たちが神様のような役割を果たして家族を守るという訳ですから、やはり無神というのは失礼なのかもしれません。

エンペラドール(天皇陛下)と答えてみる

人々が一番食いつくのがこの話題。
日本の場合、天皇陛下は元々は神道の神の中で一番強力な存在として祭られていましたので、他の世界の王室制度や皇帝制度とは一線を画するものです。
天皇家のシステム、以前の立場、現在など、世界では実は類を見ない皇室の作りは、かなりの興味を引くようです。
特にクリスマスすら祝日にはならないのに、天皇陛下の誕生日や以前の天皇たちの誕生日は祝日という部分には皆度肝。

「神」に対する日本と世界の物理的な違い

唯一絶対神を持たない影響とは

上述した通り、日本の宗教観点は絶対神的な観点ではなく、八百万の神との共存。
生贄をささげる代わりに守ってもらう、果てはお世話が必要な神様がいる、人間に大切にされない神様がいる等々…「神」というだけで尊敬しなければいけないという教育を、元々日本人は受けてきていません。
だからこそ様々な宗教が根付きますし、その代わり世界の他の場所と比べて宗教に打ち込む人も少ないのでしょう。

キリスト教やイスラム教の神様への忠誠

反対にキリスト教(唯一絶対神はヤハウェ、もしくはエホバ、イエスなど諸説あり。ただ神は一人という考えは共通)、イスラム教(アラーの神)などは、神は絶対的力と権力を有している存在という教えです。
だからこそ生活の中心に神を置くことも容易、そして間違った方向(テロなど)にも向いてしまいやすいという要因にもなるのかもしれません。
ただ「神」という存在に対する敬意、尊敬の気持ちは、日本人には到底考えれないほどに染み込んだものがあります。

「罪」というものへの考え方の違い

日本人は基本的に、「罪」から離れているように教えられます。
それは「罪=犯罪」という意識にもつながるかもしれません。
しかしキリスト教などの考え方は、元々私たち自体が「罪」な存在だということ。
罪から離れることはできません。不完全な私たちの状態が罪という教えだからです。
これがどういった意識につながるかというと、日本人特有の「自己責任論」が出にくいということ。
困っている人には施しを与え、失敗した人には許しを与える…なぜなら私たち自体が罪人であり、許しを求めているから…という考えに至るのです。
正直、どちらが良いのかは計りかねるものがあります。
何故なら、だからこそ堂々と貧乏人が金持ちにたかってお金を貰うから。「上げるのが当たり前」という金持ちたちの一種クリスチャン的行動は、貧乏人たちをダメにしているのでは?と思うことも…。

一番驚かれる日本の宗教の習慣とは

クリスチャンが一番大切にする日

世界中のカトリックやプロテスタントなどが一番大切にするのは、やはりクリスマス。
そして3月か4月ごろにある復活祭です。
この日はテレビでも朝からイエス関連の番組、映画、ドラマがずっと流れています。
終戦記念日にジブリの「ホタルの墓」が流れるのと同じでしょうか。それが一週間ほどずっと流れ続けるのです。
ただ、キリストのことを考える日というよりも家族が皆揃う日という意識の方が強くなってきているのは、やはり時代なのでしょうか。

日本人が一番大切にする日

よく、日本人にとってはいつが一番大事なの?と聞かれるのですが、これはやはり個人差があってどうにも答えようがない話題です。
しかしもし宗教的な意味でとなると、やはりお盆でしょうか。
ご先祖様の存在を思い出し、そして感謝を表すという習慣は、しかし海外のクリスマスと同様に家族が集まるチャンスともなっている点も併せて共通する部分が多いように思います。
そして年末年始。
この二つは日本人にとってもある種の一大イベントのような形になります。

一番驚く日本人の宗教行事の過ごし方

何かの儀式に驚く、というよりも日本人の年末年始の過ごし方に皆共通して驚きます。
12月23日には天皇誕生日があり休みになり(要は神道系祝日)、24、25日はクリスマスイベントが目白押し。
31日には除夜の鐘がなり(仏教系イベント)、そして元旦には皆が神社に初詣に出かけます。
宗教に寛容な日本人らしい過ごし方だとは思いますが、やはりクリスチャンたちにはどうしても受け入れられないようです。
日本人がクリスマスを祝うということ自体が驚きポイントになっています。

まとめ。なぜ宗教観への違いが生まれるのか

伝統、習慣、それらが入り混じって日本の宗教観は生まれてきました。
また天災に多く見舞われたという歴史から、神は基本的に人間を保護するような存在ではなく単純な恐れとしての存在でしかなかったという理由もあるでしょう。
神様たちからの怒りに、自分たちの力で抗わなければいけないという理論は、様々な問題からの保護を神に頼むという姿勢が基本のクリスチャンとは相いれないもの。
どちらが間違っている、という話にはしません。それぞれの立場によって結論は異なるでしょう。
ただその「違い」は非常に興味深いものでした。

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