
仏壇を置く仏間の役割は?|設置場所・位置・違い・二階・方角
仏壇や仏間と聞いてまず思い付くのは和室という方も少なくないと思います。ですが、最近は生活スタイルの変化により、和室があまり作られなくなっています。では、仏壇や仏間はどのように設置すれば良いのでしょうか?そんな疑問について詳しく紹介していきます。
最終更新日: 2020年06月26日
仏壇を置く仏間の役割とは?

仏間とは、家の中で仏壇や位牌が置かれている部屋のことです。
以前は、仏間を前提に家が作られていましたが、最近では生活スタイルが大きく変わってしまったこともあり、仏間が無い家も多くなってきました。
では、仏間を作る場合、どのようにして作れば良いのでしょうか。
今回「終活ねっと」では、仏壇・仏間の役割やその設置方法について詳しく紹介していきます。
今回ご紹介する内容は以下の内容です。
仏間と床の間の違いとは?
仏間はどこに設置すればよいの?
仏間が無い場合は仏壇はどこに置く?
以上の項目を軸に解説していきます。
仏壇や仏間でお悩みの方はぜひ最後までご覧いただき、参考にしてください。
仏間とは?床の間との違いについて

床の間とは、日本住宅の畳を敷いた部屋のことで、座敷飾りの一つです。
この床の間とは、一般的に掛け軸や花などを飾るのが一般的です。
元々は、室町時代の上層階級の家に設けられていた「押板(おしいた)」が起源と考えられており、そこには輸入されてきた名品などが飾られていました。
一方で、仏間とは仏様と向き合う場所です。
仏間は、本尊である仏像や位牌を納め、仏壇を安置するための部屋であるため、床の間とは趣向の異なる部屋となっています。
同じような和室構造が多いため混合しがちですが、床の間と仏間は、本来は全く違う性質を持つ空間です。
仏間はどこに設置すればよい?

仏間を作る際、一体どこに設置したら良いのかご存知でしょうか。
方角やそれ以外にも、注意しなければいけないことがあるのでしょうか。
ここでは、仏間を作る際のポイントをまとめてみました。
仏間は家のどの位置に作るべき?
仏間を作る際、まず大前提としてお参りをしやすい場所に作ることが大切です。
せっかく仏間を作り、仏壇を置いても、お参りのしにくい場所だと意味がありません。
お参りは毎日行うものなので、基本的には生活に馴染む場所に作るのが良いでしょう。
また、仏間を作る前に仏壇の下見をしておくことも重要です。
なぜなら、先に仏間を作ってしまい、その仏間の寸法にあった仏壇を選ぶという手順を踏んでしまうと、理想の大きさの仏壇が見つからない可能性があるためです。
そうならないためにも、まず仏壇の下見をすることをおすすめします。
他にも、仏間の奥行きはできる限り深めに取っておくようにしましょう。
仏壇を設置した後にお参りをするスペースを確保するためです。
一般的には約90cm以上がいいと言われています。
直射日光の当たらない風通しのよい場所
仏間を作る時、直接日光が当たらない場所に配置するようにしましょう。
仏壇は木材でつくられているため、日光やエアコンなどの風が常に当たる場所だと、乾燥しすぎて歪みやひび割れを起こす可能性があります。
それに加え、湿度管理にも注意が必要です。
湿度が高い部屋に仏壇を配置すると、カビの原因になることがあります。
そのため、風通しが良く、湿気の少ないところに作るのが良いでしょう。
また、テレビなどの音がするものの上には置かないように注意しましょう。
もちろん、仏壇の上にも物を置かないように気をつけましょう。
礼拝しやすい高さの場所
仏壇の高さは座ってお参りをする際、ご本尊の位置が自分の目より少し上になるように設置します。
これは、仏壇に手を合わせる時に、ご本尊や位牌を見下ろし、失礼が無いようにするためです。
必ず下からお参りできるような高さにしましょう。
地袋という30,40cm程度の袋戸棚を取り付ける場合、地袋専用の仏壇もあります。
仏間の収納を考えて設置する場合、参考にしてみてはいかがでしょうか。
立ってお参りをする場合、ご本尊が胸よりも少し上になるくらいの位置にするのがいいとされています。
いずれにせよ、仏様やご先祖様に失礼がないように考慮しましょう。
上に人が通らない場所
仏間を作る際、仏間の上に廊下や部屋を作らない方がいいとされています。
これは足音や生活音が仏間に響き、仏様やご先祖様に対して失礼だとされているからです。
ですので、新しく仏間を作るときは、できれば仏間の上の階には廊下や部屋を設けないようにしましょう。
しかし、現代の住宅環境では、そうも言ってられない場合もあるでしょう。
その場合、仏壇の上に当たる場所にはタンスなどを置いて踏み入れないようにするといいと言われています。
ですが本来であれば、このタンスなどを置くというのもやってはいけないことの1つです。
したがって、仏壇の上にどうしても物を配置したり部屋を作る場合は「雲」や「天」と書いた紙を仏壇を配置した場所の天井に貼るようにします。
そうすることで、そこが「天」となるので、仏様やご先祖様に「ここから上は天です」ということを示すことができます。
以下の記事で仏壇の上に貼る「空」について詳しく解説をしていますので、こちらも併せてご覧ください。
一階と二階どちらに作るべき?
二階建てやそれ以上になった場合、仏間はどの階に作ればいいのか迷ってしまいます。
仏間聞くと、1階にあるイメージを持たれる方が多いかと思います。
しかし、仏間の場所は基本的に決まりがないため、どの階に設置しても構いません。
むしろ上記で案内したように、仏間の上に廊下や部屋を作りたくない場合、上の階に仏間を作るのも良いでしょう。
大事なことは、日々のお参りやお世話に不便を感じない場所に作ることです。
仏壇の上に生活の場を置きたくないがために、あまり足の向かない場所に仏間を作ってしまっては本末転倒です。
また、家族にお年を召された方が居ると階段の往復がとても辛いでしょう。
法事など、親戚が集まることがある場合、そのことも考慮しなければいけません。
それに、火災や地震などの自然災害が起こった場合、位牌を取りに行こうとして逃げ遅れた、というような危険が生じる可能性もあります。
ですので仏間を作る際は、できるだけ生活に溶け込んだ場所に作るのが良いでしょう。
仏壇の扉はどの方角に向けて設置する?
仏間を作る際、仏壇の扉はどの方角に向けて設置するのが良いのでしょうか。
かつての日本では、基本的に家には仏間があり、仏壇を置く場所があらかじめ用意されていたため、いちいち仏壇を設置する向きについて悩むことは少なかったです。
一般的に、北向きに仏壇を向けてはいけないとされていますが、これは昔の家の作りからきています。
なぜなら直射日光が当たらず、風通しのいい場所として最適な場所に仏壇を置くため、北向きは不向きでよくないとされてきました。
しかし、実際のところ仏教では、あらゆる方角に仏がいるという考えがあるため、仏壇を設置する方角に吉凶はありません。
ですが、宗派により考え方が様々です。
ここでは宗派別の仏壇の向きや方角をご紹介します。
南面北座説
仏壇を南向きに置くことを勧めている宗派は、曹洞宗や臨済宗などです。
南面北座説は、中国の慣習からきていると言われています。
これは、王様や位の高い人が南を向いて座る習慣があったため、必然的に家来は北を向いて座るような形になる、ということです。
古代中国では、位の高い人が南を向いて座るのが一般的だったため、日本でもこれに倣い敬う人は南向きに座るようになりました。
また、お釈迦様が説法をする際、南を向いて座っていたと言い伝えられていることも由来します。
このようにして、北向きに仏壇を設置することはよくないと言われるようになりました。
西方浄土説
仏壇を東向きに置くことを勧めている宗派は、浄土真宗や浄土宗、天台宗などです。
西方浄土説とは、東面西座説とも言い、主人は東向きに座るのが良いとされる説です。
これはインドの習慣からきており、東という方角は日の出の方角であるため、立身出世の象徴とされています。
また、この3つの宗派は、阿弥陀如来をご本尊として祀っています。
阿弥陀如来は西方浄土(西)にいるとされており、その方角に向かって祈るため、西方浄土説が良いとされています。
本山中心説
仏壇を総本山に向けて置くことを勧めている宗派は、真言宗です。
これを本山中心説と言い、仏壇に向かってお参りをする際、延長線上に宗派の総本山がある方向にくるように仏壇を置きます。
したがって、本山中心説では、方角が決まっているわけではありません。
仏壇を置く部屋と本山との位置関係により、方角が変わってきます。
仏間がない場合、仏壇はどこに置く?

仏壇を置く際、仏間があれば問題なく設置できるのですが、現代住宅の事情を考えるとそうもいきません。
アパートやマンションでは大きな仏壇を設置するのは難しく、一戸建てでも和室がない場合もあります。
そんな時どこに置くのが良いのでしょうか。
ここでは、仏間がない場合、どのように仏壇を設置すれば良いのかを解説します。
仏壇のサイズによって異なる
仏壇と言っても、最近では大きなものから、場所を取らない小さなものまで多種多様にあります。
これは、現代人の生活のスタイルが変わったように、仏壇も現代に合わせて変化してきたからです。
ですので、大きな仏壇が引き継げなかった場合、小さなものに買い替えることもできるようになりました。
仏壇を引き継ぐことになり、置く場所に困った際は、お仏壇屋さんに相談してみると良いでしょう。
床の間
現代住宅の間取りには床の間がない場合があります。
その場合、仏壇は居間やリビングに設置しても大丈夫です。
最近では、現代の家の事情を考慮した、カジュアルなデザインの仏壇も増えてきました。
そのため、人が多く集まり賑やかな場所である居間やリビングも仏壇を設置するのに適した場所とされています。
タンスの上
アパートやマンションなど、限られたスペースにしか仏壇を置けないこともあります。
その場合、タンスやキャビネットなどの収納棚の上においても構いません。
ですが、直射日光が当たらないことや、湿気の少ないところに置くというのは考慮しなければなりません。
押入れの中
どうしても場所が取れない場合、押入れに設置することも可能です。
ですが、その際は押入れの上段に置くようにします。
最近では、押入れや狭い場所に入るような小さいサイズの仏壇も数多くあります。
さらに詳しく仏壇を置く際の注意点を知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
仏壇を和室に置くことについて、といったことや、新築を建てる場合の仏壇の置き方についてなど、幅広く解説されています。
仏壇の仏間についてまとめ

いかがでしたでしょうか?
今回「終活ねっと」では、仏壇や仏間の役割などについて詳しく紹介してきました。
ここまでの内容をまとめると以下のようになります。
仏間と床の間は同じ和室で混合されがちだが、そもそもの起源が違う。
仏間を作る際、特に決まりは無いが、お参りしやすい風通しの良い場所にする。
仏壇の設置は、宗派によって勧められている向きが異なる。
和室や広い場所が無い場合、狭い場所にも置けるよう仏壇の種類も多種多様にある。
仏壇を引き継ぐとなると、設置する場所や住んでいる環境で悩むこともあるでしょう。
ですが、大切なのは日々の生活の中で仏様やご先祖様と向き合うということです。
あまり気負わず、自分にあった仏壇を選ぶと良いでしょう。
また、以下の記事にて仏壇の置き場所や宗派について詳しく紹介しています。
そちらもぜひあわせてご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。