いつ行えばいいの?お盆の迎え火の焚き方について

日本ではお盆は重要な行事の一つです。そして迎え火はお盆の一番最初に行う風習で、多くの地域で行われています。もしも迎え火をする必要が出てきたら、いつ、どうやって行えばよいのでしょうか。地域ごとの違いにも触れつつ、いつどのように行うかを解説していきたいと思います。

目次

  1. 迎え火ってなに?いつ行うの?
  2. どうやって迎え火を焚けばいい?
  3. 道具は何を使えばいい?
  4. いつごろ行われる?全国の迎え火の行事
  5. まとめに

迎え火ってなに?いつ行うの?

迎え火

迎え火とは

迎え火とはご先祖さまの霊魂に一時的に帰ってきてもらうためにたく小さなたき火のことです。日本では迎え火の明かりがご先祖さまが帰ってくる道しるべになると考えられています。別の言い方では、迎え火の煙に乗ってこの世にご先祖さまが帰ってくるとも言われます。

いつ行えばいい?

迎え火をいつ行うかについては、日本の多くの地方では8月13日の夕方からです。もっとも、東京・神奈川・沖縄のように7月13日に迎え火をたく地方もあります。これは旧暦の頃の風習が明治時代に新暦になった後も暦を変えずに残ったものです。
もし都合がつかないようであれば、前後一日くらいずらしても構いません。ただ、ご先祖様にできるだけ長く休んでいただけるよう、迎え火は早めに行いましょう。ちなみに送り火は遅めの時間帯に行います。

行わない地域もある

迎え火を行わない地域もあり、例えば北海道は開拓民によって作られた土地であるためか古い風習が無く、基本的には迎え火および送り火は行いません。また、北陸など浄土真宗が盛んな地域でも迎え火および送り火の風習が無い地方があります。なぜなら、浄土真宗では霊魂は常にそばから見守ってくれる存在であり、特別な日にちだけに帰ってくるものではないと説いているためです。

どうやって迎え火を焚けばいい?

迎え火は大きく二つの方法に分けられます。一つは、自宅の入口近くで直接火をたく方法です。もう一つは、お墓の前で火をたき、ちょうちんなどにその火を分けて自宅まで持ち帰る方法です。迎え火の一種である盆提灯についてもこの項で解説します。

自宅の入り口で迎え火をたく方法

迎え火は家の外で後述するオガラや薪などの木材に火をつけて行います。一例として筆者の郷里である鹿児島県鹿児島市内での迎え火の手順をあげます。鹿児島では8月13日の19時から20時くらいに玄関の外の道路に面したところで火をたいていました。最初に新聞紙を丸めたものをいくつか重ね、それに木材をもたせかけて山なりに組んでいきます。十本くらい乗せたところで新聞紙に火をつけ、木材に燃え移ったところで、さらに木材を足していきます。木材を使いきると、後は火が消えるままに任せます。完全に消えたところで水をかけ、燃え殻を始末して終了です。

お墓でたいた迎え火を自宅まで持ち帰る方法

地方によっては迎え火を自宅の前でたかずにお墓の前でたくところもあります。例えば宮城県では先祖のお墓の前でたいた火をローソクにとり、提灯の明かりにして自宅まで持ち帰るという風習があります。

盆提灯を飾る場合

盆提灯とは

盆提灯は迎え火と同じ役割を持っており、ご先祖さまがたどる道しるべにするために火をともします。飾るのは迎え火と同じく13日です。宗派による違いはありません。
大きく分けて、吊るして使うものと置いて使うものの二種類があります。前者は岐阜提灯(ぎふちょうちん)、後者は大内行灯(おおうちあんどん)および回転行灯と呼ばれる種類が代表的です。回転行灯とは火をつけると熱のはたらきで中の絵柄が回転する仕掛けのある行灯のことです。後述する初盆の白提灯以外のものは毎年飾れるように大事に使いましょう。

初盆には白提灯を

注意したいのは、初盆の場合です。亡くなられた方の四十九日が終わった後の盆を初盆といいます。四十九日の期間がお盆をまたいでいる時は、初盆は来年になります。初盆の時は盆提灯には無地の白提灯を飾ることになっています。白提灯は初盆だけしか使わないので、お盆が終わったら処分しましょう。その際、送り火で燃やしたり自宅の庭で燃やすのが本来のやり方ですが、昨今は法律の関係で難しくなっています。そのためお寺に引き取ってもらうこともできます。もっとお手軽に火袋(提灯の外側の覆いの部分)を形式的に少しだけ燃やした後で自宅でゴミに出すこともできます。

道具は何を使えばいい?

迎え火で使う道具について説明します。

オガラ(麻殻または苧殻)

オガラとは迎え火で燃やすための木材です。もともと麻殻と書いたように、皮をむいた麻の木の茎を使っていました。地方によっては稲わらやカンバ(白樺の木の皮)など他の木材を使っているところもあります。例えば長野県の飯田市では松の割木や豆がらを迎え火のたきつけとして使っています。
特に燃やす木材の指定がないなら、お店で売っているものでよいと思います。お盆が近くなってくると、スーパーやホームセンターで手に入れることができるでしょう。

火をつける道具

火がつくものであれば特にきまりはありません。マッチでもライターでもかまいませんし、安全を考えるならチャッカマンなどでもいいと思います。

焙烙(ほうろく)

焙烙とは迎え火をたくときに土台にする素焼きの平皿です。焙烙のうえで火をおこして、路面をいためないようにしたり後片付けを簡単にできたりします。これは必要であればそろえてもいいと思います。

新聞紙

最初にオガラに火を燃え移らせるために使います。適度に空気を含ませながら丸めて使いましょう。朝刊一日分もあれば十分すぎるはずです。

電気式のろうそく

もしマンションに暮らしているなど、火を起こせない事情があれば、最近は電気式のろうそくで代用する場合もあるようです。お手軽に行いたい場合など、便利かもしれません。

いつごろ行われる?全国の迎え火の行事

迎え火は古くから行われてきた行事で、日本の文化と言えるでしょう。ここでは、迎え火に関係した全国の行事を紹介していきます。もし日程があえば、訪ねてみてはいかがでしょうか。

秋田象潟の盆小屋行事

秋田県にかほ市の象潟海岸で8月12日夜に行われる行事です。国の無形民俗文化財に選定されています。この行事は12日の朝に盆小屋と呼ばれる高さ2メートルで2畳ほどの広さの簡便な小屋を海岸に建てるところからはじまります。この時子どもたちが中心になって盆小屋をつくります。同日の夕方から地域の人々がお参りする小屋のそばに迎え火がたかれるようになり、15日夜には盆小屋自体を燃やして送り火とします。

新潟県新潟市西蒲区 鯛車

新潟県の巻地区(新潟市西蒲区)に伝わる鯛車とは車輪のついた台座に鯛の模型をのせた子ども用のおもちゃです。中にろうそくをともして明かりをつけ、ひもで引っ張って歩くことができます。発祥はよくわかっていませんが、江戸末期からあった風習ではないかと言われています。かつては8月13日の夕方からお盆の間にかけて子どもが鯛車を引いて歩く風景が見られていましたが、昭和30年代を境として廃れてしまいました。今では巻地区の地域住人が主体となって再び風習をよみがえらせようと運動をおこなっています。

岐阜県高山市 ごしょうらい

岐阜県高山市の荒城川流域で行われる行事で、迎え火と同じ意味を持つと言われています。8月10日ごろから荒城川流域の9つの集落で、富士山の形に提灯が並べられ明かりがともされます。2001年からは国府町近くの山に大きなごしょうらいが作られるようになりました。昔はろうそくが使われていましたが、現在は電球で代用されています。

石川県志賀町 おしょうらい

石川県の志賀町では毎年8月13日に「おしょうらい」と呼ばれる行事が行われています。夜になると、あらかじめ立てられていた松明柱に火がつけられ、はやし声とともに先祖の霊の供養のために燃やし続けます。「しょうらい」とは「精霊」のこととされています。

静岡県富士市 振り松明(ふりたいまつ)

静岡県富士市で8月13日夜に行われる伝統的な行事です。麦わらを藤つるで束ねたものを振り回し、先祖の霊を招くとされています。昔は霊魂が迷わないように送り火までのお盆の間、毎日振り松明をして町を歩いていました。

滋賀県甲賀市 三大寺の迎え火

滋賀県甲賀市三大寺で毎年8月13日に行われるイベント「三大寺の迎え火」です。1500本のろうそくと約100発の花火、それと設けられているアトラクションで先祖の霊をにぎやかに迎えます。

京都市 お寺による万灯会(まんどうえ)

万灯会(まんどうえ)とはお寺で供養のために燈明をともし、罪の消滅を願う行事のことです。迎え火と送り火を兼ねて行うお寺もあり、京都市内でもいくつかのお寺で見ることができます。行っているお寺では六波羅蜜寺(8月8日~10日)、壬生寺(8月9日~10日、送り火は16日)が有名です。

和歌山県太地町の柱松(はしらまつ)

和歌山県太地町で行われる行事で、先祖をお迎えするというより新仏と無縁仏の供養のために行われます。8月14日が迎え火で、15日が送り火になります。立てた松の木の15mほどの高さのところにわら籠をとりつけ、松明を投げ入れて供養を行います。

山口県萩市 大照院と東光寺の万灯会

大照院は1656(明暦2)年に、東光寺は1691(元禄4)年に創建された毛利家の菩提寺です。両寺院で行われる万灯会は8月13日に大照院で迎え火が、15日に東光寺で送り火が行われます。期間中は大照院では603基、東光寺では500基の石灯籠に火が灯され、厳かな空間を演出します。

鹿児島県姶良市 ハシタマッ(柱松)

鹿児島県姶良(あいら)市で行われる迎え火と送り火を兼ねた行事です。8mほどの高さに設けられた竹かごにアカシと呼ばれる火のついた松明を投げ入れて、先祖の供養を行います。

まとめに

迎え火

お盆のはじまりを告げる迎え火は、帰ってくるご先祖さまへの挨拶と言えるかもしれません。ちょうど目上の人への挨拶のように、しかるべき方法でふさわしい時間に行いたいですね。そのための準備に本稿が役立てば幸いです。

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